『個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきことにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。 (個人情報の保護に関する法律(略称 個人情報保護法) 第3条より) 』
さて、皆さんご存知の 「個人情報保護法」 ですが、この法律が施行されたのが2005年 (平成17年) の4月です。 つまり、丸3年が経過したのですが、このお蔭で警察の捜査が行き詰った・・・、なんて話がたまに新聞やテレビでも話題になっていますよね?
条文をよく読めば、そんなに拡大解釈 (=大袈裟に) する必要も無いのに、個人のあらゆる情報が外部に洩れるのは法律違反になる! と思い込んでいる人も多いのでは?
それはさておき、当業界でもその弊害があちらこちらで発生しています。
いちばん顕著なのが、当施設を初利用される方のプロフィールが空欄状態であること。
どのような方なのかを事前に知ることができれば、対処方法が明確になりますし、難しい方 (身体状況、性格等) の場合は予備知識として介護課の全ワーカーの共通認識としていたほうがトラブル発生の率が低下することは自明の理です。
ショートステイの短期利用者様もそうですが、本入所として入られた方の場合、長い付き合いになるのですから、できれば色々なことを事前に知っておきたい。
確かに、宗教や政治的信条など、 「アンタッチャブル」 な事柄もありますが、それとても、たとえば当施設で毎年行われる 「慰霊祭」 などは、仏教形式で行っていますので、仏教以外の信者の方や、仏教徒でも独自の宗派の方にとっては、参列なんてもっての他となります。
そういう方の場合は、当然ながら無理強いはせず、その時間は他のワーカーがお相手をすることになっていますので、信仰している宗派が事前に判れば、無用なトラブルはなくなります。
また、コミュニケーションを図る意味でも、事前に 「個人の情報」 がある程度わかっていれば、その方に合わせた話題が提供でき、会話がスムーズに運ぶものです。
たとえば出身地が判れば、 「そこの名産品は美味いですよね〜」 とか 「あの場所は本当に綺麗で良いところですよね〜」 なんて会話が成立します。 贔屓の球団が判れば、そのチームが調子よければ 「昨日も勝ちましたね! 今年は優勝かな!?」 なんて会話もできるし、逆に調子が悪ければあえて野球 (またはサッカーetc…) の話題を避けるのもよし。
とにかく、入所直後で慣れない場所にいて、不安を感じている利用者様に対して、少しでもリラックスしてもらえることも実際にありました。
・・・もっとも、自分が話したわけでもない自分の情報を、初めて会ったヤツが知っている!? 冷静に考えたら薄気味悪い気分になるのも確かだし、正直言って虫の居所が悪ければ、それだけで不穏になるかもしれません。
要は、その情報を基にしてその人から話題の核心を話してもらう。 こういう会話のテクニックも介護士に求められているスキルの一つだと思います。
とにかく、情報がなければお互い手探り状態で数日間を過ごさなければならず、結果として不毛な状況になる 「危険性」 が高くなると思うのです。
趣味や贔屓の球団、政治的・宗教的な事柄はともかく、入所するに当たって、本来記入すべき事柄にさえ (食べ物の好き嫌いや既往症の有無など) 未記入状態のファイルを見ると、この人の家族は本当にうちの施設を信用しているのだろうか? と思わざるを得ません。
単に書き漏らしたのならともかく、 「個人情報保護法によって・・・」 なんて言う家族が急増しているのも事実らしいのですが、そのお蔭で、嫌いなものを他の利用者と一緒に食べさせられたり、独自の生活パターンがあるのに施設のスケジュールに強制されたりしたのでは、当の利用者様が溜まったものではないでしょう。
通常、 「特別養護老人ホーム」 に入所するということは、そこに住民票を移すことになるわけで、つまりここが、その利用者様にとって 「新しい我が家」 になるのですから、ご家族におかれましてはどうか、当施設及びそこで働く職員を信用していただきたいと思います。
情報を提示しないことによっていちばん不利益を蒙(こうむ)るのは、利用者様なのだと思うのですよ、本当に。
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